―楽器を始めたきっかけについて教えてください―
母がピアノ教師で、ピアノはすごく小さい時からやっていました。小学校のギタークラブに入ったのをきっかけに母が弦楽器をやってみたらと。私、今でも背が高いんですけどその時から大きくて(大型の楽器もできたので)、始めたころの年齢(10歳)くらいだとヴァイオリニストになるには遅すぎるということでチェロの先生を紹介してもらいました。
―チェロは比較的小さい頃から取り組む楽器かと思っていました―
今は英才教育で小さいチェロがありますけど、私は九州の田舎で何も分からずに…チェロに出会えただけでも奇跡だと感じています。
―Para国際音楽コンクールの審査員を引き受けた際、
どのような考えや印象を持たれましたか―
出てくる音楽に対してどう審査するかについてはあまり迷いはありません。聴けば何か想いというか、感じるところが必ずあると思うので。パラアーティストの方でも健常者の方でも音楽には境界線がないと思っています。
―これまで障がい者の方の音楽に触れたことはありますか―
この間初めて響愛学園におじゃました時に、ピアノとカホンと作曲の方と一緒にチェロを弾いたのが印象に残っていて。ピアノを弾いてる子が、人前だと演奏が止まっちゃうのを先生が気にされていたんですけど、音楽は止まっていないのが印象深かったです。音を探しているという感じで、流れの一部から逸れていない。私たちはミスをすると“はっと”我に返るようなところもあるんですがそれがない。頭の中では正しい音が鳴り続けているんだろうなというのが見えました。
―これから様々な場所で演奏してみたいと思っている応募者も
たくさんいると思います。そのような方々に期待することはありますか―
今まで人前で演奏する機会のなかった人や小人数の演奏の場にしか出たことのなかった人も、100人ぐらいの規模になってくると弾いていてお客さんがどう感じているのか伝わってくるのでそういう体験をしてほしいです。お互いに反応しあうと言うか、客席の反応を感じて演奏にどういう影響が出るのか、そういう化学反応が起こることが楽しみです。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします!―
私たちも初めての試みなので皆さんの演奏をすごく楽しみにしています
迷っている人もぜひ勇気をだして応募してください。待ってます!
―いつ頃からフルートを始められましたか―
高校のブラスバンド部に入部してからフルートを始めました。きっかけについて良く聞かれるんですけど全然かっこよくなくて。みんなより後から入部したのですが、楽器の空きがチューバとフルートしかなく、チューバは重たいし…(笑)それだったらフルートに、ということで始めました。
―Para国際音楽コンクールの審査員の話を聞いた時
どのように思われましたか―
初めて声をかけていただいた時は、自分に審査できるだろうかと戸惑いもあったんですけど、みなさんと話して考えていく間に「楽しんでやればいいんだな」という結論に至りました。
―これまで障がい者の方の音楽に触れたことはありますか―
オーケストラで辻井さんとステージをご一緒させて頂いたことが特に印象に残っています。音楽性や、集中力、私たちでは出せないようないい音を出すところなど、胸に刺さるものがありとても感動しました。
―音楽の素晴らしさを日々どのような場面で感じますか―
日本センチュリーでは認知症の方への音楽プログラムもやっています。そこではただこちらの音楽を聴かせるのではなく、認知症の方が発信したことを受け取って音楽で返すという取り組みをしていて、1時間やると自分も活性化されてすっごく元気になるんです!
プログラムを受けた方には気持ちが落ち着くとか、ぐっすり眠れるといった効果があるのですが、私たちが与えているだけではなくてこちらも元気をもらっているんだと気づきがありました。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします!―
お会いできるのをとても楽しみにしています。たくさんのいい音楽と出会えることを待ち望んでいます。がんばってください!
―楽器を始めたきっかけについて教えてください―
中学校で吹奏楽部に入って始めました。実はトランペットをやりたかったのでトロンボーンをやることになった時は正直あまり気乗りしなかったのですが、やっている内にはまってここまできました。
―トロンボーンのどのようなところが魅力でしたか―
他の楽器にはない動きですね(トロンボーンは腕を前後にスライドさせて演奏する)。あとはやっぱり音が好きで、自分にしっくりくる感じがありました。
僕は歌も好きだったので、高校では合唱部に入ってトロンボーンは個人でレッスンを受けていました。
―Para国際音楽コンクールの審査員を引き受けた際、
どのような印象を持たれましたか―
音楽の道を目指す人は多く、最近はアマチュアの方のためのコンクールやソロ演奏のためのコンクールもいろいろと増えてきています。その中でも、演奏に真摯に向き合う障がいのある方がやりがいを持って臨めるコンクールを開催するというところにすごく惹かれました。素晴らしいなと思います。
―本コンクールは障害がある人と社会を音楽でつなぎたいとの思いで
企画されましたが、ご自身では音楽のもつ役割について
どのように考えられていますか―
芸術のための音楽だったり、日常生活の中で楽しむ音楽だったり、教育としての音楽だったり、音楽にも様々な分野がありますが、どれも絶対に必要だと考えています。音楽家としてオーケストラでの演奏やレッスンを通して、社会と音楽をつないでいきたいと思います。
―これまで障がいがある方の音楽に触れたことはありますか―
小学校の合唱部で県の音楽祭に参加したことがあり、その中で支援学校の演奏を聴いたことが今も心に残っています。身体全体を使って、みんなとても一生懸命で、その表現力に「すごいな!」と本当に感動しました。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします!―
音楽ができる喜びを大事にして、楽しみながら練習して舞台に上がってほしいなと思います。がんばってください!
―ピアノをはじめたきっかけについて教えてください―
中学生の時にチューバで音楽大学に行こうと思い、教わっていた先生に相談したら「入学試験でピアノを弾かなければならない」と言われました。それで高校生になってから同じ先生にピアノも教えてもらうことになったんですけど、先生が「ドレミファソラシド」を和音をつけながら弾いてくれたんです。
それを聴いて「うわあ、ピアノってきれいだな」と思って、ピアノのレッスンを初めて受けたその日に「先生、僕ピアノ科で行くわ」って言いました。先生からは「悟平くん、絶対無理。普通はピアノ科って3、4歳から英才教育を受けてそれでも通るか通らないかの狭き門なのに、あなた今日ピアノ始めたばっかりでしょう?」って言われました。なんですけど、最終的には先生の方が折れてピアノ科に進むことになりました。
―今まで経験した中で一番印象深いコンサートは?―
印象に残るコンサートはたくさんあるんですけど、特に忘れられないのはやっぱり、カーネギーホールの大ホール。あと、東京2020の閉会式は162か国で生放送、2億5千万人の方が見ていて、一生忘れられない経験になりました。
―Para国際音楽コンクールに関わることの意義について
どのように思われますか?―
普通の国際コンクールにもさまざまな才能の方が集まりますが、パラリンピックの閉会式を経験して、本当にいろいろな個性の方が集まるなって感じました。
指がない人、片腕がない人、声が出ない人もいるし、耳が聞こえない人もいる。いろいろな個性を持ったダントツの人たちが集まって、その人たちが命がけで練習して磨き上げたものを披露する、本当にすごいことです。だからPara国際音楽コンクールでも、あらゆる個性の方々の演奏が聴けたり、友達になったり、自分の視野がさらに広がっていくと思います。
―『自分だからこそできる音楽表現』についてお聞かせください―
よく聞かれるんですけど、僕自身が生き証人だと思うんです。
言葉を選ばずに言うと、僕なんかより上手いプロの人たちはたくさんいるんです。でもニューヨークで、うまい人たちがスポンサーが無くて、チケットが売れなくて、それぞれの国に帰っていく中で、僕は20年間残ることができた。何が大切だったんだろうと考えた時に、どれだけ自分の中に音を持っているかが大切だったんじゃないかなって。火を知らない人が火を表現できないのと一緒で、自分が知らないことは表現できない。だから、汚い音も美しい音も含め色んな種類の音、音楽を聴いてどれだけそれが心の中に蓄積しているか、それを瞬時に出せるかが大事だなと思います。
あとはやっぱり伝えたいと思う『歌心』かな。「この音綺麗でしょ、聴いて!」っていう思いだけで生き残ってきたかもしれない。ヨーロッパでもカーネギーホールで弾いた時も、7本指ということを売りにはしてなかったんですね。だから、みんな7本指で弾いてる姿を見に来てるんじゃなくて、心を分かってくれてるから聴きに来てくれているんだなって思いました。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします―
ニューヨークで一番最初に受けたレッスンの中で先生に言われた言葉があります。ニューヨークは日本で1位、フランスで1位、イタリアで1位というような人たちが集まって競い合うような街です。そこで生き残ろうと思うなら”Do not try to play well”、つまり、「上手く弾こうとするな」って言われたんです。上手い奴はすでにたくさんいると。それから”Just find your own voice”、直訳すると「おまえ自身の声を見つけろ」とも言われました。
声というのは自分にしかないものの例えです。1から10そつなくできなくていいから、何か一つ自分だけにしかできないことを見つけろ、それが唯一ニューヨークでサバイバルできる方法だ、という意味だったんです。当時は「上手く弾きたいに決まってるじゃん」って思ってたんですけど、指が悪くなって上手く弾けなくなっちゃって、それで音に心を込めるしかなくなったんですね。でもそのおかげで生き残ることができたんです。
もちろんコンクールは経験として大切だと思うし、上手に弾かなきゃいけない場面はあります。だけど、若い人たちには自分にしかない表現、自分にしか出せない音を追及していってほしいと思います。
―演奏家として社会の中での役割は何だと思いますか?―
心の癒しになればいいと思います。去年から今年にかけて(インタビューを行なったのは2021年12月)、コロナによって、皆さん心も疲れてらっしゃると思います。そんな時に自分たちが演奏することで少しでも心が元気になっていただければと思います。
今は音楽家の人たちの心も疲れてますよね。レストラン業界などはニュースになるけどエンタメ業界はなかなかニュースにもならなくて、僕自身も去年はカレンダーが真っ白でしたから。
―今後の夢について伺わせてくださいー
全国の次世代を担う若者たちと触れ合う事!中学校や高校、大学を回って行きたいです。
僕は15歳からピアノを始めて、「絶対ピアノ科で音楽大学にはいけないよ」「ニューヨークでなんかやっていけないよ」「二度とピアノは弾けません」、いろいろ言われてきました。
けど、それぞれ形は違えど叶えることができて、昨年は2億5千万人の前でソロ演奏をしました。「絶対に叶わない」と思う事でも、頭に思い続けて、口に出し続けて、そしてあきらめずに努力を続けていると、ある日気がついたら叶っていたという体験をたくさんしてきました。そういう話を子どもたち、若い世代にしていきたいなと思います。
―Para国際コンクールに関わることの意義について
どのように思われますか?―
国内外の障害者のフェスティバルやコンサートにおいて、障害のある方が演奏を通じて自信や希望をもち、自己肯定感を持って人生を切り開いている事例を多く見てきました。その経験が、今回のParaアーティストの発掘や支援に役立てば大変嬉しいです。
―障がいがある方の奏でる音楽には
どのような魅力があると思われますか?―
言葉で自己表現が難しい方が音楽というツールを通して心の叫びを表現したり、身体の動きに制限がある方が編曲やサポート具によってその方ならではの音楽を生み出していることに魅力を感じます。
人間の可能性への気づきがあります。
―Para国際音楽コンクールで審査するときのポイントについて
考えをお持ちでしたら教えてください。―
聴き手の心をゆさぶる音楽であるかどうかです。障害のレベルや種類に違いがあり一概に演奏技術を比べる事は難しいですが、練習過程で楽曲と向き合った結果、自分の気持ちを音にのせて表現している演奏かどうかは共通のポイントだと思います。
―Para国際コンクールの応募者や演奏に
どのような期待をしていますか?―
自分のアピールポイントをパフォーマンスとして聴き手に届け、聴き手がまた聴きたいと思えるような演奏を期待します。
―これまで携わったコンサートの中で
特に印象深いコンサートについて教えてください―
2013年から自閉症児の親たちと共に主催してきた「オーティズム(自閉症)ミュージシャンコンサート」です。演奏と共にこれまでの経緯をご本人、保護者、指導者の方に語っていただきました。参加された方同士で障害ならではの課題を共有したり、コンサートでの出会いがその後の演奏活動へ発展しているのをみると嬉しくなります。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします!―
人前で演奏することは出会いであり、その出会いの連鎖によってアーティストとしてまだ見ぬ世界も開けてくるかもしれません。今回の応募もその一歩になるよう応援しています。
―Para国際コンクールに関わることの意義について
どのように思われますか?―
私の周りにも障害を持たれている方が何人かおらます。その方々を含め、音楽を通して頑張っておられる方々を応援できることに大変意義を感じます。
―Para国際音楽コンクールで審査するときのポイントは?―
演奏する方の「心」が感じられること。
―Para国際コンクールの応募者や演奏に
どのような期待をしていますか?―
音楽を愛して、その生活からの音楽を奏でられておられることを期待しております。
―音楽や演奏家は、社会の中で
どのような役割を果たしていると思われますか?―
楽しいときはより楽しく、悲しい時には心を慰めてくれて、寂しい時は寄り添ってくれるもの。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします!―
日本でアーティストとして活動していくのは大変ですが、応援してくれる人や演奏に感動してくれる人が必ずいるので、頑張って目指してその人たちに報いていただきたい。
―これまでサロンやホールの設立にご尽力されてきましたが、開催されたなかで一番印象に残っているコンサートについて教えてください―
私どものThe Music Center Japanはニューヨーク本部の日本支部として35年前に設立されました。「The 」が最初についているのは、これぞミュージックセンターという意味です。設立直後から毎年十数名の演奏家をニューヨークセミナーにお連れし、カーネギーリサイタルホールでジョイントリサイタルを開催したことです。西川悟平氏とも一緒に演奏しました。
―Para国際コンクールに関わることの意義についてどのように思われますか?―
皆様の演奏を共有させていただくことは大変意義深く、多くのことを学ばせていただくよい機会だと考えております。
―Para国際音楽コンクールで審査するときのポイントは?―
音質と音楽性に注目します。
―Para国際コンクールの応募者や演奏にどのような期待をしていますか?―
芸術は障碍者も健常者も区別なく人類平等に与えられたものです。
心に染み入るような音を聴かせていただきたいと思っています。
―音楽や演奏家は、社会の中でどのような役割を果たしていると思われますか?―
音楽は私たちに「生きる力」を与えてくれる、なくてはならないものです。
苦しい時も楽しい時も音楽に力を与えられ、逆境は乗り越えられ喜びは倍増します。
―アーティストを目指している方へエールをお願いします!―
毎日の努力の成果が実を結びます。一日一日を大切に楽しく練習に励んでください。
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